譲り受けたもの
「緑茶は甘いもの」と知ったのは10年ほど前になります。沸いた湯をぬるく冷ましてから入れることで、甘くまろやかなお茶になります。
教えてくれたのは御年80歳の趣味友です。以前ご近所に住んでいたことから知り合ったのですが、同年代かと思うほど話が合う友達です。会話の内容はもっぱら猫の話、今週のお題「犬派? 猫派?」も当然猫派です。他には手芸の話を、時には世界情勢や愚痴なども少々。話が尽きません。
そんな彼女が元気なうちに身辺整理をして、いつでも施設に入れるように、子や孫に迷惑をかけないようにと、断捨離を決行しています。
土間には使い切れないほどの食器類やお盆類、布や糸などが集められており、好きなものを持ってってくれとのことでした。
彼女が愛用していたものなら全部ほしいくらいなのですが、私はこの急須と茶碗を頂いてきました。手の収まりも良いし具合が良いです。彼女はもっと良い物を持ってるのでこんなもので良かったらどうぞということでした。
今飲んでいるのはこのお茶です。
現在は緑茶もペットボトルで気軽に買える時代です。日本人なのに私を含めてお茶のことがよくわからない人は多くいると思います。「お茶を習っています」とか「なんとか家に入門」と聞くと着物を着ないといけないとか作法が‥‥と、敷居が高いと感じてしまうものです。
ですが、もともとお茶はもっと奔放なものだったといいます。
サードウェーブコーヒーブームのように、ニューバランスを履いて髭眼鏡の男子が一杯ずつ淹れてくれる緑茶を求めてお茶屋に並び、茶葉を買って帰るというブームはこないでしょうか。